朝英語の会@京阪神~The Japan Times紙記事について議論する

朝英語の会@京阪神(京都・大阪・神戸)のブログページ。 次回の「朝英語の会大阪梅田・神戸」のテーマに関連する日本語及び英語記事を紹介しています。これまでに行ったワークショップの詳細や参加者の様子もアップしています。参加前に読んでおくと、テーマの背景や関連の英語の語彙を知ることができます。

9/13(木)朝英語の会梅田のテーマ:「空飛ぶ車」実用化に向けて

 

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Photo by Hamish Clark on Unsplash

 

9/13(木)7:30AM~ 朝英語の会梅田@スタートアップカフェ大阪で利用するThe Japan Times紙の記事が発表されました。記事は以下の頁からダウンロードできます。

 

 

 

Let’s discuss flying cars 

https://www.japantimes.co.jp/life/2018/09/03/language/lets-discuss-flying-cars/#.W5UNR-gzbIW

 

テーマは「空飛ぶ車の実用化」です。昔見た映画やSF小説の光景が現実として我々の前に次々登場して来る時代になりました。空飛ぶ車はテクノロジーの面では限りなく実用化に近づいてきており、既に複数のメディア記事が実態を動画を含むニュースで報告しています。

 

Silicon Valley Company Preps Affordable Flying Car for 2019

https://www.youtube.com/watch?v=VIygDyKMVwM&feature=youtu.be

 

BlackFly Wants To Be The Flying Car You Can Finally Buy Next Year, And For Cheap

https://www.forbes.com/sites/ericmack/2018/07/12/opener-blackfly-wants-to-be-vtol-flying-car-you-can-buy-next-year/#17e309084216

 

 空飛ぶ車の開発で日本はUberやAirbusと一緒に他国に先駆けて運用のルール作りを計画しています。航空産業では欧米が世界の法規制と市場の主導権をいち早く握ったから、日本企業が当該分野で出遅れたという認識が中央政府にはあるからです。経済産業省は空飛ぶ車の開発を進める理由として、渋滞の緩和、災害時の僻地での有効利用、観光等をあげています。

 

しかし、実際問題として、災害等の利用は別にして 空飛ぶ車が増え、空中で渋滞が起こり、青い空が見えないという事態を我々は受け入れることが出来るでしょうか?また悪天候だと空の事故の危険性は極めて高く、事故が起これば当然飛行機なら大惨事です。現状では空飛ぶ車の飛行にはパイロットの資格が必要です。その資格が今後緩和され、低価格が進行したとしても、その普及は現実的でしょうか?

 

 実はこの問題は交通計画を含む都市計画からも考えていく必要があります。欧米、特に欧州の都市計画は市場経済による土地利用並びに適正な資源の分配の失敗から始まっています。産業革命以降の工業化により、欧州では人口が都市部に集中し、様々な社会・環境問題に直面します。都市の労働者階級の住民は生命を脅かす水・空気の汚染、快適な住宅の確保に長年悩まされることになります。一方、通勤など様々な移動交通を確保する手段として、米国では公共交通の代わりに道路が建設され、自動車による移動が一般的になるのですが、これが後に環境問題や地域格差、虫食い的な土地利用など様々な問題を引き起こす要因になってしまったのです。

このため、都市計画、特に交通計画の分野では、自動車交通が増えるからと高速道路を建設すると、新しい需要が喚起され、以前より更に自動車利用が増え、結局ボトルネックの解消には繋がらず、環境問題の悪化につながるだけという考え方が一般的になっています。

 

CityLab University: Induced Demand

 

https://www.citylab.com/transportation/2018/09/citylab-university-induced-demand/569455/?utm_campaign=city-lab&utm_content=edit-promo&utm_term=2018-09-06T21%3A31%3A33&utm_medium=social&utm_source=twitter?utm_source=twb

 

 日本でも郊外化が進んで都市中心部の人口が大きく減少した時代がありました。そして、地方自治体は都心部の小中学校を次々、廃校にします。しかし、近年、都心部の土地利用の緩和により高層マンションが立ち並び、また女性の社会進出により職住近接を求める声が高まると、都心部へ移り住む労働人口が増え、今度は逆に都心部の学校が不足し、新たに学校用地の確保・建設を検討しなければならなくなりました。少なくとも欧州の都市計画はこの市場経済における土地利用の外部不経済を規制・誘導する方向で発達してきたのですが、日本はこの規制が著しく弱く、そのため地方自治体は不要なインフラ投資を迫られています。

このように技術の革新の現実世界への応用、特にインフラの整備に関しては、我々は様々な環境・社会面のインパクトをあらゆる面から想定して、慎重にその導入を検討する必要がありそうです。

 

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