朝英語の会@京阪神~The Japan Times紙記事について議論する

朝英語の会@京阪神(京都・大阪・神戸)のブログページ。 次回の「朝英語の会大阪梅田・神戸」のテーマに関連する日本語及び英語記事を紹介しています。これまでに行ったワークショップの詳細や参加者の様子もアップしています。参加前に読んでおくと、テーマの背景や関連の英語の語彙を知ることができます。

6/28(木)朝英語の会梅田のテーマ:民泊新法の施行~観光振興と都市計画

 

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Photo by Severin on Unsplash

6/28(木)朝英語の会梅田 で利用する記事が発表されました。今回は日本に上陸し、わが国のインバウンド観光の隆盛に伴って、飛躍的な成長を遂げているAirbnbを規制する民泊新法とその影響についてです。

 

Let's discuss Airbnb and minpaku laws 

https://www.japantimes.co.jp/life/2018/06/18/language/lets-discuss-airbnb-minpaku-laws/#.Wy4ngaczbIV

 

住宅宿泊事業法(民泊新法)は、民泊について安全面・衛生面の確保がなされていないこと、騒音やゴミ出しなどによる近隣トラブルが社会問題となっていること、観光旅客の宿泊ニーズが多様化していることなどに対応するため、新たに制定された法律です。

 

http://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/overview/minpaku/law1.html

 

今回は民泊事業申請の手続きが複雑で新法の施行までに届け出が間に合わなかった事業者が続出し、結果として多くの事業者の物件がエアビーアンドビーなどの仲介業者のサイトから新法施行直前に削除されることになりました。その結果、大量の宿泊予約が突然取り消しされ、大きな混乱を招く事態になっています。

 

日本のメディア記事や政府のHPの説明は犯罪等の治安や騒音・ゴミ出しなど環境問題の悪化を民泊新法が施行された主な理由として挙げています。しかし、都市計画や住宅政策の歴史が長い欧米諸国では、エアビーアンドビー等の民泊の存在は既存の都市計画と観光による地域振興政策とのバランスが主な争点となっています。とりわけ心配されているのが、New YorkやLondonなど、もともとAffordable Housing(手頃な価格の住宅)といわれる所得層の低い人向けの住宅の供給が年々困難になっている大都市への影響です。Rentの高いShort-Let Propertiesの増加がこのAffordable Housing の供給を更に減少させ、不動産価格、特に賃貸住宅市場のそれを大幅に押し上げることへの悪影響が懸念されています。

 

下記の記事はエアビーアンドビーのNew York市への影響を分析した記事で、その下にリンクがある報告書からの抜粋です。

 

A new study of Airbnb paints an ugly picture of the company's impact on New York City housing

https://techcrunch.com/2018/01/31/nyc-new-york-airbnb-study-mcgill/

 

The High Cost of Short-Term Rentals in New York City

http://www.sharebetter.org/wp-content/uploads/2018/01/High-Cost-Short-Term-Rentals.pdf

 

【概要】

This report provides a comprehensive analysis of Airbnb activity in New York City and the surrounding region in the last three years (September 2014 - August 2017) 

 

 1)Airbnbの増加により賃貸価格が上昇。長期の賃貸物件は減少。NY市の住宅市場に打撃

The study also lays plain Airbnb’s potential impact on long-term housing availability in New York, estimating that it has removed between 7,000 and 13,500 long-term rental units from the market.

 

2)Airbnbは普通の住宅の持ち主が部屋を貸すという民泊イメージを広告で振りまいているが、実際の貸主の大半は宿泊業者や不動産業者

While Airbnb goes to great lengths to promote an image of its average renter — a homeowner renting an extra room to make a little passive income — it’s no secret that a massive swath of Airbnb listings come from professional operators who control many listings across a city.

 

3)Airbnb NYの85-89%は違法の疑い、かつ上位10%の物件が売り上げの48%を占めている

 'We estimate that between 85 percent and 89 percent of entire home rentals to have been illegal.’ ’ the top 10 percent of Airbnb hosts generated 48 percent of all revenue in 2017.'

 

今後日本では様々なスポーツイベントが予定されており、更なる観光客の増加が見込まれています。人口が減少する日本での空き家対策、観光による地域活性化、雇用創出など様々な効果が期待されてきた民泊ですが、ここにきて私達は改めて多くの観光客を迎える地域のあり方、私達の住む街の未来をどのようにデザインしていくのか、しっかり考えていく必要がありそうです。

 

キーワード:観光振興、都市計画、規制緩和、住宅政策

 

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